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業務アプリ開発はもう待たない！Retoolが切り開くAI時代の内製ツール構築

導入：既存システムの「隙間」を埋めるには？

多くの企業でDX（デジタルトランスフォーメーション）が推進される中、現場からは「既存の基幹システムやSaaSでは対応できない、部門特有の細かい業務要件」が次々と生まれています。

こうしたニッチなニーズをIT部門がイチから開発していては時間がかかりすぎます。その結果、業務が非効率なまま放置されたり、セキュリティリスクのある「シャドーIT（非公式なツール利用）」が生まれてしまうことも。

その課題を解決する切り札こそが、**ローコードプラットフォーム「Retool（リツール）」**です。本記事では、Retoolの基本的な機能から、その高い拡張性、そして最新のAI機能まで、徹底的に解説します。

Retoolは、主に社内向けの業務アプリケーション（内部ツール）を迅速に構築するために設計されたローコードツールです。

最大の特徴は、一般的なローコードツールとは異なり、「開発者（エンジニア）」が使いやすいように設計されている点です。

項目	Retoolの特徴
開発スタイル	ドラッグ＆ドロップ（ノーコード）＋ JavaScript/SQLの直接記述（コード）
得意な領域	注文管理、顧客ダッシュボード、承認フローなどの「内部業務用アプリ」開発
柔軟性	標準コンポーネントで80%をカバーし、残りの20%の複雑なロジックをコードで仕上げられる高い拡張性

Retoolが世界中の企業で支持される理由は、現代の企業ITの課題に正面から向き合っているからです。

開発期間の大幅な短縮: 複雑なフロントエンド構築やデータ接続処理が自動化されているため、数時間でプロトタイプを、数日で本番運用レベルのツールを構築できます。
既存資産の活用: ゼロから作り直すのではなく、既存のデータベースや基幹システム（SAP、Oracleなど）の情報を活かした「補完的なアプリ」開発に強みを発揮します。
セキュリティとガバナンス: IT部門の管理下でツールを開発・運用できるため、業務部門が勝手に作った非公式ツール（シャドーIT）を防ぎ、セキュリティを確保できます。

Retoolは、アプリのフロントエンド構築からバックエンドの自動化、そして最新のAI活用まで、内部ツール開発に必要な全てを提供します。

Retoolの最大の強みは、その接続性の高さにあります。

豊富なネイティブコネクタ: PostgreSQL, MySQL, MongoDB, Snowflake, Amazon S3などの各種データベース、Salesforce, Google Sheets, Stripeなどの主要なSaaSに簡単に接続できます。
マルチデータソース対応: 複数の異なるデータベース（例えば、PostgreSQLとOracle）やSaaSの情報を、一つのRetoolアプリケーション内で同時に操作・表示できます。
カスタムAPI連携: 独自のAPIに対しても、RESTやGraphQLを通じて容易に連携できます。

直感的なビジュアルエディタで、必要なコンポーネントを配置するだけで画面が完成します。

Retoolは、ユーザーインターフェースがない**「自動化プロセス」**も構築できます。これが「Retool Workflows」です。

機能: 定期実行、Webhookトリガー、APIコールなどを起点に、データの取得・加工、外部サービスへの通知、データの書き込みといった一連の処理を自動化します。
活用例: 「毎朝9時にデータベースからデータを取得し、異常値があればSlackにアラートを送信する」といった処理を構築できます。

近年、RetoolはAIをプラットフォームの中核に統合し始めています。

AIアプリの開発: OpenAIやAnthropicなどのLLM（大規模言語モデル）のAPIと連携し、要約ツール、コード生成ツール、顧客向けチャットボットなどを迅速に開発できます。
Retool Agents: 複数のステップ（データ検索、API呼び出し、ワークフロー実行など）を連鎖させ、複雑なタスクを自律的に実行するAIエージェントを、コーディングなしで構築・管理できます。

Retoolは、そのスピードと柔軟性から、以下のように様々な部門で活用されています。

部門	構築されるアプリの例	解決する課題
オペレーション	注文・在庫管理ダッシュボード	複数のECサイトや倉庫システムに散らばる情報を一元化し、手動での在庫調整や緊急対応を迅速化。
カスタマーサポート	Customer 360 ダッシュボード	顧客の購入履歴、サポートチケット、Web行動ログなどを一つの画面に集約し、サポート対応時間を大幅に短縮。
営業	リードスコアリング＆承認システム	マーケティングシステムからのリードデータを自動で集計・評価（スコアリング）。高評価のリードを自動で営業担当に割り当て、割り当て承認フローをアプリ化。
IT/管理	セキュアなDB管理UI	本番DBへの直接アクセス権を持たないメンバーでも、Retoolを通じて安全なUI経由でデータの参照・一部の編集のみを許可。